司法書士が優しく解説!家族信託って何ですか?

最近、テレビや雑誌、インターネット等で「家族信託」が取り上げられることも増えてきて、少しずつ注目されるようになってきました。

しかしながら、「家族信託」という言葉を聞いたことはあっても、実際に何ができるのかといったところまではよく分からない方が多いのではないかと思います。

そこで今回は、家族信託とはどのようなものか、何ができるのかといったことを中心に、家族信託の基本的な部分についてお話ししていきます。

超高齢社会と成年後見

認知症700万人時代へ

平成27年9月、日本の総人口に占める65歳以上の高齢者の割合が、過去最高の26.7%となり、国内における80歳以上の高齢者の人口が1,000万人を超えたことを総務省が発表しました。

国民の4人に1人が65歳以上という超高齢社会において、認知症患者の数は、厚生労働省の推計で約462万人に上るとされており、その予備軍も約400万人と推計されています(平成24年時点)

また、2025年には、認知症患者の数が700万人を超えるとの推計値も発表されています。これは、65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症になる計算となります。

成年後見のデメリット

認知症により判断能力が失われると、認知症患者本人に対して意思確認をすることが難しくなるため、定期預金の解約、不動産の売却といったことができなくなります(財産の凍結)

このような場合、通常は裁判所に成年後見人を選任してもらい、その成年後見人が本人に代わって財産管理を行うことになります

しかしながら、成年後見制度は財産管理を行う上での制約も大きく、親族にとって必ずしも使い勝手のいいものとは言えません。

トラブルに注意!知っておくべき成年後見制度の7つのデメリット

2017.11.08

そういった中、成年後見制度に代わるものとして、注目を集めているのが「家族信託」です。

家族信託とは

家族信託の仕組み

家族信託とは、自分(委託者)の財産を信頼できる家族(受託者)に託して、指定した人(受益者)のために財産を活用・管理してもらう仕組みのことをいいます。

「信託」と聞くと少し難しく感じられるかもしれませんが、要は、

  • 委託者は、自分の財産を信頼できる家族(受託者)に預ける
  • 受託者は、預かった財産を受益者のために使う
という、財産をだれに預けて、どうやって使ってもらうかの話になります。

このように、家族信託とは、一言でいうと財産管理の方法であり、委託者・受託者・受益者の三者が基本的な登場人物となります。

受託者は家族しかなれないの?
よく、「受託者は家族しかなれないの?」という質問をいただきますが、家族でなければならないという決まりはありません。
ただし、受託者は財産を管理するという重大な役割を担うので、それを任せられるだけの信頼できる人であることが不可欠であり、家族が適任であると思われます。

また、家族信託は「信託」という言葉のイメージから、よく投資信託や資産運用のことだと思われがちですが、これらとはまったく関係ありません。

家族信託とは、投資信託とか資産運用のことではありません!

2017.12.15

信託された財産はどうなるの?

信託を始めると、信託された財産は委託者(元の所有者)の所有から離れ、受託者が「名義」を預かり、受益者が「権利」を有することになります。

もっとわかりやすく言うと、信託された財産について、受託者が「名義=ハンコの権限」を、受益者が「権利=お金の権限」を持つことになります。

信託された財産の「形式的な所有者」が受託者で、「実質的な所有者」が受益者と言ってもいいかもしれません。

このように、信託された財産は、所有権が「名義」と「権利」に分離したような状態になりますが、これが認知症による財産凍結対策に大いに役立つこととなります。

なぜ委託者と受益者が同一にするのか?
信託を始めると、税務上、信託された財産の実質的な所有者は「受益者」とみなされます。
したがって、信託の開始時点で委託者と受益者が異なる場合、受益者に対する贈与があったものとみなされ、贈与税や不動産取得税が発生してしまいます。
この点、受益者を「自分」とすることにより、実質的な所有者に変更はなかったものとみなされ、贈与税や不動産取得税が課税させることはありません。
そのため、信託を設計する際には、委託者と受益者を同一とすることが一般的です。

家族信託の機能はココがすごい!

認知症になっても財産が凍結されない!

なぜ認知症によって財産が凍結されてしまうのかというと、それは財産の所有者である「認知症患者本人」に対して、意思確認をすることができなくなるからです。

一方、家族信託では、委託者(元の所有者)は信託された財産の所有者とは扱われないので、委託者(元の所有者)に対して意思確認をする必要がありません

それではこの場合、だれに意思確認をするのかというと、信託された財産の「名義」を預かっている「受託者」に対して行うことになります。

そのため、信託開始後に委託者(元の所有者)が認知症となっても、本人の意思確認ができずに財産が凍結されてしまう、といった事態になることもありません。

このように、家族信託を活用することで、成年後見を使わなくても財産管理に支障をきたすことはなく、受託者が管理を行うことができます。

遺言書の代わりになる!

家族信託では、自分の財産を受託者にどのように管理してもらうのか以外に、信託が終了したときに、残っていた財産をだれに帰属させるのかを決めておくことができます。

たとえば、信託契約書の中で「本件信託が終了した場合、残余の財産については●●に帰属するものとする」というように記載しておきます。

これにより、遺言書を書いたことと同じ効果が得られ、自分の希望どおりに財産を承継させることができるようになります。

遺言書がないばかりに相続争いとなってしまった、あるいは遺言書さえあれば相続争いを防ぐことができた、というケースは山ほどあります。

とはいえ「遺言書を書く」となると、どうしても死を連想させるものであることから、なかなか思うように事は進まないか、そもそも話題にさえできない家族も少なくないはずです。

しかしながら、「信託契約書のひとつの条項として、財産の帰属先を指定する」となると、遺言書を書くよりは、いくぶんハードルは下がるのではないでしょうか。

この「遺言書の代わりになる」という点も、家族信託の大きな機能のひとつといえます。

家族信託はこんな場面で活用できる!

家族信託の最大の特徴は、本人(委託者)が認知症になっても財産が凍結されずに、受託者が管理を行うことができる点にあります。

したがって、以下のような場面で家族信託が活用されることが増えてきています。

  • 認知症に備えて、今のうちから財産管理を家族に任せたい
  • 家族が認知症になったときに、財産が凍結されるのを防ぎたい
  • 家族が認知症になっても、成年後見を使わずに財産を管理したい
  • 施設費用等が必要になった時に、不動産を売却できるようにしておきたい
  • 家族と共有名義で持っている不動産を、スムーズに売却できるようにしておきたい

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