トラブル続出!成年後見制度の7つのデメリット

認知症患者の預金を下ろしたり、不動産を売却するには、裁判所に成年後見人を選任してもらい、その成年後見人に手続きを行ってもらうしか方法がありません。

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しかしながら、厳しい制約や負担の大きさから、成年後見人をつけたことによって、「こんなはずではなかった…」という声が聞かれているのも事実です。

そこで今回は、利用する前に必ず知っておくべき成年後見のデメリットについてお話しします。

成年後見人とは?

成年後見人とは、認知症や知的障がい、精神障がい等の理由で、判断能力が不十分な方を保護するために、家庭裁判所から選任された人のことをいいます。

成年後見人には、親族(配偶者、親、子、兄弟姉妹及びその他親族)が選任されたものが全体の23.2%、親族以外の第三者が選任されたものが全体の76.8%となっています。

成年後見人を選任する理由
もっとも多いのが預貯金の管理・解約です。このほか、不動産の処分や遺産分割協議、介護施設との入所契約などの理由によっても利用されています。

成年後見人は、家庭裁判所の監督のもと、ご本人の預貯金や不動産などの管理、日常の生活費の管理、収入や支出の管理などを行います。

成年後見の7つのデメリット

成年後見のデメリット

成年後見人の大きな役割は、ご本人の財産を「守る」ことにあります。つまり、成年後見人には、ご本人の財産をできるかぎり減らさない管理が求められています。

そのため、財産の使用には厳しい制約がつき、柔軟な財産の利用ができなくなるなど、家族にとって必ずしも使い勝手のいいものとはいえないのが現状です。

以下、利用する前に必ず知っておくべき成年後見のデメリットとなります。

1.必要最低限の支出しか認められない

ご本人の財産は、ご本人のために本当に必要な、合理的な理由のあることにしか使うことができません。

たとえば、別に所帯をもっている子どもが「生活費が足りないから少しもらいたい」と思っても、それは認められないことになります。親が元気なころに、自由に使っていいと言っていたとしても同じです。

相続税対策はできる?
相続税対策をすれば支出を抑えることができるので、本人の財産を守ることにつながる―。そのように誤解する人が多いですが、相続税対策はすることができません。なぜなら、相続税対策は、ご本人のためではなく、ご本人が亡くなった後の相続人のために行うものだからです。

したがって、いったん成年後見人をつけてしまうと、財産の使用には厳しい制約がつき、柔軟な財産の利用ができなくなってしまいます。

2.申立てに時間がかかる

成年後見の申立をしても、すぐに成年後見人が選任されるわけではありません。

成年後見人がご本人の財産を管理することができるようになるまで、申立から2~3か月程度はかかるため、急な支出などに対して、迅速な対応がとれるわけではありません。

3.必ずしも親族が選ばれるわけではない

成年後見の申立書には「成年後見人の候補者」を記載することができ、それは親族であってもかまいません。

しかしながら、必ずしも記載した候補者が選ばれるわけではなく、最終的な決定は家庭裁判所の判断によるので、弁護士や司法書士などの専門職が選ばれることもあります

その結果、まったく見ず知らずの弁護士や司法書士が「成年後見人になりました」とやってきて、通帳を持っていってしまうことになるのです。

また、親族が成年後見人に選ばれた場合であっても、弁護士や司法書士がその親族後見人を監督する役目(成年後見監督人)として選任されることもあります。

このように、何らかのかたちで専門職がかかわってくる可能性があります。

4.専門職への報酬が発生する

成年後見人や成年後見監督人に弁護士や司法書士が選任された場合、その専門職への報酬が発生することになります。

報酬の目安
管理する財産額にもよって変わってきますが、成年後見人の場合は月2~5万円程度、成年後見監督人の場合は月1~2万円程度の報酬が発生します。なお、報酬額は裁判所が決定します。

一度、成年後見人が選ばれると、その職務はご本人が亡くなるまで続くので、専門職がかかわっていた場合には、その者への報酬が発生し続けることになります。

5.自宅が売却できるとは限らない

ご本人が施設や病院から自宅へ戻る見込みがなくなったからといって、勝手に自宅を売却することは成年後見人でもできません。

自宅の売却には家庭裁判所の許可が必要であり、それには「売却しなければならない理由」がなければなりません。

この点、ご本人の資産として自宅以外に十分な預金があり、それで介護費用をまかなえるような場合には、裁判所から売却の許可が下りない可能性もあります。

6.裁判所への報告義務がある

成年後見人には、定期的に収支状況や財産目録などを作成して、後見事務に関する報告を家庭裁判所にしなければならない義務があります。

この報告義務を怠ると、成年後見人を解任されてしまうこともあるので、きちんと家庭裁判所に報告書を提出しなければなりません。

とはいえ、親族が成年後見人になっていた場合は、報告書を作成することは大変な作業であり、大きな負担になるものと思われます。

7.途中で利用をやめられない

定期預金の解約、不動産の売却など、成年後見人を選任することとなった目的が達成されたとしても、成年後見を終わりにすることはできません。

また、親族が成年後見人になっていた場合に、財産管理や裁判所への報告が面倒になったからといって、途中で成年後見人を辞めることもできません。

一度、成年後見人が選ばれると、その職務はご本人が亡くなるまで続きます。

したがって、弁護士や司法書士などの専門職がかかわっていた場合、その者への報酬も発生し続けることになります。

まとめ

以上のように、厳しい制約や負担の大きさから、成年後見人をつけたことによって、「こんなはずではなかった…」という声が聞かれているのも事実です。

こういった中、成年後見制度に代わる新たな財産管理の方法として、近年、注目されているのが「家族信託」です。

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もちろん、家族信託も決して万能というわけではなく、身上監護のように、成年後見制度を利用することでしかできないこともあります。

身上監護とは?
介護保険に関する手続きや病院に関する手続き、施設の入退所に関する手続きなど、本人の生活や療養、介護等に関する支援を行うことをいいます。

したがって、成年後見制度を利用する際には、成年後見でできること・できないこと、デメリットや負担なども十分に踏まえて検討することが大切になります。