家族信託を検討する際に注意しておくべき5つのこと

家族信託は、認知症による財産凍結に備える仕組みとして、非常に役立つものといえますが、決して万能というわけではなく、注意しなければならない点もあります。

そこで今回は、家族信託を検討する際に注意しておくべき5つのことについてお話しいたします。

家族信託を検討する際はここに注意する!

1:認知症になってからでは遅い

家族信託は、委託者(もともとの財産の所有者)と、受託者(信託財産の管理を行う人)との間で、信託契約を結ぶことによって開始します。

したがって、委託者・受託者の双方に、契約を結べるだけの判断能力が必要となります。そのため、認知症の症状が進行している状況では家族信託を行うことは難しいといえます。

ただし、年相応の物忘れ程度や、あるいは認知症と診断された場合でも、まだ症状の軽い状況であれば、家族信託を行う余地はある可能性があります。

認知症と診断されると、もう家族信託はできないのですか?

2017-12-18

2:子どもだけでは進められない

家族信託を利用した“きっかけ”は、子どもが親の状況を心配して、何か対策をと考え始め、家族信託にたどり着いたというケースが多いものと思われます。

そこから、親も含めて、家族間で親の今後の生活や財産管理、財産承継について話し合いを行い、最終的に家族信託の利用につながっていくことになります。

しかしながら、中には、親の意向を置き去りにして、子どもたちだけで進めようとしてしまうケースも見受けられます。

この点、家族信託は、委託者と受託者との間で信託契約を結ぶことで開始するので、このようなかたちで行うことはできません。

つまり、親自身が「子どもに財産の管理を任せる」という積極的な気持ちを持つことで、はじめて家族信託の手続きを進めることができるのです。

3:信頼できる受託者が不可欠

家族信託は、単に財産の管理を受託者に任せるというだけではなく、財産の名義も受託者に変えてしまう強力な仕組みです。

したがって、家族信託を行うには、自分の財産を名義変更してまで託すことができる、信頼できる受託者が存在することが不可欠となります。

いいかえれば、財産を託すに足る信頼できる受託者が見つからないような場合は、家族信託ではなく他の方法を検討するべきといえます。

受託者になれるのは家族だけ?
家族信託という言葉から、家族しか受託者になれないと思われがちですが、決してそのようなことはありません。法律上、受託者になることができないのは、未成年者・成年被後見人・被保佐人のみとなります。

4:初期費用がかかる

現状として、信託専用の管理口座(信託口口座)を開設する際、金融機関において、司法書士等の専門家が信託契約書の作成に携わってい
ることを条件としている
ことがあります。

また、そもそも専門家に相談せずに家族信託を行うと、思わぬところで贈与税が発生してしまう可能性があるなど、非常にリスクが高く、お勧めできるものではありません。

したがって、家族信託を行うには専門家のかかわりが必須といえ、この場合、初期費用としてある程度まとまった金額がかかることとなります。

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ただし、家族信託を開始してしまえば、それ以後のコストはほとんどかかることがありません。これは、ご本人(被後見人)が亡くなるまで後見人の報酬が発生し続ける成年後見とは異なる部分です。

5:実務が整備されていない部分がある

家族信託が注目されるようになってから、まだそれほど時間が経っていません。

したがって、信託専用の管理口座(信託口口座)を作ることができる金融機関が少ないことを始めとして、実務がまだ整備されていない部分が見受けられます。

そのため、家族信託が本格的に普及するには、もう少し時間がかかるものと思われます。

まとめ

家族信託は、認知症による財産凍結に備える仕組みとして、非常に役立つものです。

しかしながら、家族信託も決して万能というわけではなく、注意しなければならない点も少なからずあります。

したがって、家族信託を検討する際は、家族構成や資産状況、目的などに応じて、他の制度も検討した上で、よりよい選択をしていくべきといえます。




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