不動産を家族信託すると、登記はどうなるの?

家族信託は、財産の名義を「受託者」に変更して管理を任せることに大きな特徴があります。不動産を信託した場合も、委託者から受託者に名義変更が行われます。

それでは、不動産の名義変更を行うと、登記簿にどのように記載されるのか見てみましょう。

甲野父郎さんの事例

甲野父郎の事例甲野父郎さんが、自宅を息子の甲野一郎さんに信託した場合を例に見てみます。なお、信託の当事者は、以下のようになります。

  • 委託者:甲野父郎(もともとの財産の所有者)
  • 受託者:甲野一郎(信託された財産の管理を行う人)
  • 受益者:甲野父郎(信託された財産の使い道となる人)
事例の詳しい内容は、下記をご覧ください。

認知症高齢者の財産を、成年後見を使わずに家族が管理する方法とは?

2017-12-18

家族信託した不動産の登記簿について

権利部(甲区)の記載

登記簿の権利部(甲区)には、所有権に関する事項が記載されています。不動産を信託することにより、受託者が新たな所有者として記載されます。

不動産登記簿(権利部)

  1. もともとの不動産の所有者として、甲野父郎が記載されていました。
  2. 信託をしたことにより、受託者(甲野一郎)に名義が変更されました。

登記簿上の所有者が甲野一郎になったことで、この不動産を売却する際に、売買契約書にサインや押印をするのも甲野一郎となります。甲野父郎が関与する必要はありません。

したがって、信託をした後に、甲野父郎が認知症になったとしても、成年後見人をつけることなく、受託者である甲野一郎の判断で、不動産を売却することが可能となります。

信託目録の記載

不動産を信託すると、名義が受託者に変更されるのと同時に「信託目録」というものが作成されます。この信託目録には、信託の当事者や信託条項の内容が記載されることとなります。

不動産登記簿(信託目録)

  1. 委託者として、もともとの財産の所有者が記載されます。
  2. 受託者として、信託財産の管理を行う人が記載されます。
  3. 受益者として、信託財産の使い道となる人が記載されます。
  4. この信託が、何を目的としてされたものかが記載されます。
  5. 信託財産の管理方法として「換価処分することができる旨」が記載されていることで、受託者に不動産の売却権限があることがわかります。
  6. 信託の終了事由として、この信託をいつ終わらせるのか(いつまで続けるのか)を記載します。
  7. その他の信託条項として、信託終了後の残余財産の帰属先を指定しておけば、これが遺言書の代わりとなります。その結果、他の相続人全員のハンコをもらうことなく、指定した人に不動産を引き継がせることができます。

まとめ

不動産を信託すると、名義が受託者に変更されるのと同時に「信託目録」というものが作成され、登記簿に信託の当事者や信託条項の内容が記載されることとなりました。

もともとの所有者(委託者)にとってみると、受託者に名義が変わってしまうことに抵抗を感じるかもしれませんが、受託者はあくまでも不動産の管理を行うための「外形的な所有者」という位置づけになります。

これにより、信託をした後に、もともとの所有者(委託者)が認知症になったとしても、成年後見人をつけることなく、受託者の判断で不動産を売却することが可能となります。




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