家族信託を検討するときに、最初に考えるべき5つのポイント
家族信託の活用を検討する際、一体、何から考えていけばいいのでしょうか。
そこで今回は、家族信託で最初に考えるべき5つのポイントをご説明します。
ポイント1:家族信託をする目的は何か?
家族信託をすることで何をしたいのかを明確にします。
下記のように目的を明確にし、家族構成や財産状況なども考慮しながら、信託を設計していくことになります。
場合によっては、家族信託ではなく、他の方法によるほうが最善と考えられることもあります。
- 認知症で財産が凍結されてしまうことを防ぐために、子どもに管理を任せたい
- 親が認知症になってしまった場合でも、成年後見人をつけずに財産を管理したい
- 介護施設に入所して自宅が空き家となった場合に、子どもに管理を任せたい
- 親子で共有名義となっている不動産を、スムーズに売却できるようにしておきたい
- 相続税対策を検討しているが、認知症になっても計画が実行できるようにしておきたい
- まずは子どもに財産を相続させ、子どもが亡くなった後は、孫に相続してもらいたい
- オーナー社長が認知症になった際、会社経営がストップしないように備えておきたい
- 後継者に株式を譲渡したいが、贈与税や経営権が気がかりで、なかなか進められない
ポイント2:信託する財産は何?
信託をする目的が明確になったら、次は、どの財産を信託するのかを検討します。
- 不動産
- 現金
- 株式
- その他の財産
必ずしも、信託をする人のすべての財産を信託しなければならないわけではありません。
この財産は信託をして、この財産については遺言書を作っておく、といったことも可能です。
ポイント3:適切な受託者はいるのか?
信託の当事者は、原則として三者構造になります。
- 委託者:財産のもともとの所有者(ご自身)
- 受託者:信託開始後の財産の管理者
- 受益者:信託開始後の財産権を持つ人(ご自身)
特に重要になってくるのは「受託者」選びです。
受託者は、財産管理を任せる重要な役割になるので、信頼できる人を選びます。
また、受託者に万一のことがあった場合に備えて、第2受託者を決めておくことも検討します。
なお、受益者について、信託開始時は委託者と同一人物にしておかないと贈与税が発生するので、ご自身を受益者とするのが通常です。
ポイント4:信託をいつ終わらせるのか?
信託は、委託者(もともとの財産の所有者)が亡くなったからといって、その時点で終了するわけではありません。
委託者(受益者)が亡くなった時点で終了させるのか、あるいは第2受益者を設定して、信託を継続させるのかを検討します。
信託をする目的が「不動産の売却」であるような場合には、売却ができた時点で終了ということも考えられます。
ポイント5:残余財産を誰に帰属させるのか?
信託の機能のひとつとして、遺言書の代わりになるということが挙げられます。
つまり、信託契約書に、信託終了時の残余財産を誰に帰属させるのかを記載しておくことで、遺言書を書いたことと同じ効果が得られます。
したがって、財産を誰に承継させたいのか、検討することとなります。
まとめ
以上が、家族信託を検討するときに、最初に考えるべき5つのポイントです。
実際に家族信託を活用するとなると、さらに検討すべき点がいくつもありますが、この5つを考えることで、大まかな方向性が決められるかと思います。
また、これらを考えておくことで、専門家に相談する際も、よりスムーズな打ち合わせができるはずです。