家族信託とは、投資信託とか資産運用のことではありません!
家族信託と聞くと、「信託」という言葉のイメージから、どうしても投資信託とか資産運用を思い浮かべる方も多いのではないかと思います。
しかしながら、家族信託は「認知症に備える財産管理の方法」であり、投資信託とか資産運用といった類のものではありません。
そこで今回は、投資信託と家族信託の違いについて、お話しいたします。
投資信託と家族信託の違い
投資信託と家族信託の大きな違いは、
- 受託者が誰になるのか
- 受託者が営利目的で(商売として)財産管理を行うのか
という2点にあります。
投資信託について
投資信託では、金融庁の許可を受けた信託銀行や信託会社が受託者となり、信託を営利目的で(商売として)行います。
つまり、信託銀行や信託会社は、不特定多数の投資家(委託者)から財産を集め、それを運用して利益を出し、投資家(受益者)に還元することを目的としています。
投資信託の運用によって生じた損益は、投資額に応じて投資家に帰属することとなりますが、信託銀行や信託会社は、管理手数料を得ることによって、商売として成り立たせています。
このような営利目的の信託のことを「商事信託」と呼んでいます。
家族信託について
これに対し、金融庁の許可を持たない個人や法人が受託者となり、営利目的(商売)としないで行う信託のことを「民事信託」いいます。
そして、民事信託の中でも、委託者の家族が受託者になる場合を、特に「家族信託」と呼んでいます。
家族信託では、認知症に備えて財産管理を行うことであったり、円満な相続(資産承継)を実現させることを主な目的としています。
まとめ
「信託」というと、どうしても投資信託のイメージがあるため、家族信託と聞いても自分には関係のない話と決めつけられてしまいがちです。
しかしながら、投資信託と家族信託は、まったくの別物であることがおわかりいただけましたでしょうか。
家族信託は、認知症高齢者の財産管理対策として、有効な選択肢のひとつとなり得ることをご理解いただければと思います。