知っておきたい!高齢者の遺言書トラブルを防ぐ3つの方法
遺言書は相続トラブルの防止に役立ちますが、遺言書を作ったことが相続トラブルの原因となってしまうこともあります。
特に、高齢者が書いた遺言書は争いのもとになりやすい傾向がありますので、今回は、高齢者が遺言を作るときのトラブル防止法をご紹介します。
遺言書を書くには「遺言能力」が必要!
遺言書は誰でも書ける、というものではありません。
遺言書を作るには、作成する時に、遺言書に記載した内容とその結果生じる法律的な効果について理解し、判断することのできる意思能力(これを「遺言能力」といいます。)を有している必要があります。
つまり、認知症などで判断能力が低下している場合には、作成した遺言書が無効となってしまう可能性がある、ということです。
高齢者の作った遺言書は要注意!
現在の日本は、国民の4人に1人が65歳以上という超高齢社会に突入し、かつてないほど飛躍的に寿命が延びてきています。
その一方で、認知症患者の数も、厚生労働省の推計で約462万人に上るとされています(平成24年時点)。
その結果、子どもが認知症の親に無理やり遺言書を書かせてトラブルとなるケースが増えるなど、高齢者が作った遺言書は、後々、相続人の間で「遺言能力」が争われることも少なくありません。
しかしながら、遺言者が亡くなった後に、遺言書を書いた当時に「遺言能力」があったことを証明するのは、そうそう簡単なことではありません。
高齢者の遺言書トラブルを防ぐ3つの方法
したがって、高齢者が遺言書を作る場合、次のような方法で作成しておくと、後々、争いがあった場合に役立つことがあります(※必ずしも遺言能力を証明できるわけではありません)。
1.公正証書により遺言を作成しておく
公正証書遺言は、公証役場で証人2名の立ち合いのもと、公証人が遺言者に内容を確認しながら作成します。
したがって、本人以外の第三者が誰も関与しない自筆証書遺言と比べると、信用性ははるかに高いといえます。
判断能力について少しでも不安がある場合は、自筆証書遺言ではなく公正証書遺言で作成することが望まれます。
2.医師に診断書を作成してもらう
高齢者の遺言書にまつわるトラブルは、そのほとんどが高齢者の遺言能力に関するものものです。
認知症の疑いがあるような場合であれば、かかりつけの医師に判断能力がある旨の診断書を作成してもらうなど、書面による資料を残しておくことも重要です。
3.遺言書の作成場面を撮影しておく
遺言書を作成している場面をビデオで撮影しておくこともひとつの方法です。
遺言者の受け答えや会話の様子などを動画で撮影し、遺言書作成時に判断能力があったことが客観的にわかる資料を残しておきます。
まとめ
今回は、高齢者が遺言書を作るときのトラブル防止法をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
認知症であっても遺言書が書けないわけではありませんが、著しく判断能力が低下しているような場合には、遺言書を書いても無効とされてしまいます。
少しでも判断能力に疑いがあるような場合には、遺言書の作成時に遺言能力があったことを立証するための証拠をしっかりと残しておくことが大切です。