「遺言書が2通出てきた!」この場合、どっちの遺言書が有効なの?
さて問題です。
- 遺言書は何通書いても大丈夫?
- 遺言書は何回書き直しても大丈夫?
- 公正証書で遺言書を作ったあとに、自筆で遺言書を作っても大丈夫?
これらは遺言書でよくある質問です。
そこで今回は、遺言書が2通以上あった場合についてお話しします。
遺言書は何通書いてもOK!
先ほどの問題の答えはすべて「大丈夫」です。
遺言書は1通しか書いてはいけないものではありません。
何通書いても、何回書き直してもかまいません。
また、最初に公正証書で遺言書を作ったからといって、その後の遺言書も公正証書で作らなければならないわけではありません。
遺言書が2通以上発見された場合
それでは、亡くなった人の遺言書が2通以上発見された場合はどうなるのでしょうか。
2通以上の遺言書が発見された場合、古い遺言書と新しい遺言書との間に、内容が重なっている部分があるかどうかが遺言書の有効性に影響を与えます。
1.古い遺言書と新しい遺言書で、内容が重なっていない場合
どちらの遺言書も有効なものとなります。
例えば、Aさんが次のような遺言書を作ったとします。
1.平成25年に、甲不動産をBに相続させるという内容の遺言書
2.平成26年に、乙不動産をCに相続させるという内容の遺言書
この場合、平成25年の遺言書と平成26年の遺言書で内容が重なっていないため、どちらの遺言書も有効なものとなります。
2.古い遺言書と新しい遺言書で、内容が重なっている場合
新しい遺言書のみ有効なものとなります。
例えば、Aさんが次のような遺言書を作ったとします。
1.平成25年に、甲不動産をBに相続させるという内容の遺言書
2.平成26年に、甲不動産をCに相続させるという内容の遺言書
この場合、平成26年の遺言書によって、平成25年の遺言書は取り消したものとみなされ、平成26年の遺言書のみ有効なものとなります。
3.古い遺言書と新しい遺言書で、一部内容が重なっている場合
新しい遺言書は有効なものとなります。
ただし、古い遺言書も内容が重なっていない部分のみ有効なものとなります。
例えば、Aさんが次のような遺言書を作ったとします。
1.平成25年に、甲不動産と乙不動産をBに相続させるという内容の遺言書
2.平成26年に、甲不動産をCに相続させるという内容の遺言書
この場合、平成26年の遺言書が有効であることは上記2の事例と同じです。
ただし、平成25年の遺言書の中の、平成26年の遺言書と内容の重なっていない「乙不動産をBに相続させる」という部分については有効なものとなります。
日付の一番新しい遺言書が優先される
このように、遺言書が2通以上発見された場合、一番最後に作成されたもの、すなわち日付の一番新しい遺言書が有効なものとして扱われます。
ただし、新しい遺言書と古い遺言書で内容の重なっていない部分があるときは、その部分についてのみ古い遺言書も有効なものとなります。
したがって、遺言書が2通以上ある場合、作成された日付の前後と、内容が重なっているかどうかが大きな意味を持つことになります。