受託者が亡くなったら、家族信託はどうなりますか?
受託者が亡くなると、受託者の任務が終了する
家族信託をしても、財産を管理していた受託者のほうが先に亡くなってしまう可能性もゼロではありません。
万一、受託者が亡くなってしまった場合や、判断能力が低下してしまった場合などには、受託者の任務が終了します。
受託者の任務のおもな終了事由
- 死亡
- 後見開始又は保佐開始
- 破産手続開始
- 辞任
- 解任
ただし、受託者の任務は終了しても、家族信託自体が終了するわけではありません。
この場合、新たな受託者を選任し、その者が受託者の地位を引き継いで、家族信託を継続させていくことになります。
受託者の地位の相続
受託者の地位は相続されることはありません。したがって、新たな受託者を選任する必要があります。
なお、受託者の任務が終了した場合に、新たな受託者が就任しない状態が1年間継続すると、今度は家族信託自体が終了してしまいますので、その点には注意が必要です。
新たな受託者の選任方法
それでは、新たな受託者はどうやって決めるのでしょうか。
信託契約書において、あらかじめ予備的な受託者(第2受託者)を指定しておけば、その者が新受託者として信託事務を引き継いでいくことになります。
しかしながら、予備的な受託者を定めていない場合や、定めていても、その者が新受託者に就任できない場合も想定されます。
その場合には、信託契約書に定めた選任方法や、委託者と受益者の合意などによって、新受託者を決定していくことになります。
ただし、信託開始後は、委託者や受益者が認知症になっていることも想定されるので、新受託者を選任するのに何かと問題が生じる可能性があります。
したがって、できるかぎり、最初から予備的な受託者(第2受託者)を定めておくことが望ましいといえます。
予備的な受託者が見つからなかった場合
少なくとも、委託者や受益者が認知症になった場合でも、確実に新受託者を決められるような選任方法を、あらかじめ信託契約書に定めておくことが必要です。